17. 舞台での姿・出立(1)

 

胴着のはなし

舞台装束の下に着ている装束の補助着である。「胴着」「胴帯」「込」の三点で、セットとして扱う個人備品です。

胴着(どうぎ)

これは装束着付けの際、形を整えやすいように、また能のシテ方やワキ方に対して、同じような大きさの体型になる(小さく見えない)ように、肌着の上に着るもので表は白絹・裏は白麻(または木綿)でその中に綿を入れた下着です。この綿には「小袖綿」がよいと先代の宗家から聞いたような覚えはあるのですが、それがどのような綿なのか聞かなかったのが残念でなりません。能の方も胴着を使用されますが、能の胴着は狂言のそれよりも綿が少ないことも知っておいてください。これはその上につける装束が、織物や刺繍の多い能の装束に対して、狂言は麻や染物による装束が多いことにも由来しています。

胴帯(どうおび)

胴着を着けるための幅数㎝ 長さ4.5m程度の、胴着と同じ布で作られた綿入れの帯です。幅はともかく長さは人によって随分と変わりますので、他人の胴着を借用される人は注意してください。芯地でつくる人もいますが、薄い芯を綿で包んだものが最適なようです。

込(こみ)

胴着を着ける際、胸の部分に当てる小さな布団のようなもので装束を着けた役者の体をより大きく見せるための物と思ってください。役者自身の体型により使用しなかったりする時もあり、また強い役柄を演じる時には、2枚使用することもあります。

これらの胴着は、真夏でも真冬でも装束の下には必ず使用します。舞台に上がる前には汗にならないように水分は控えめにしますが、夏の舞台などはやはり汗汗汗・・・ 舞台に座っているだけで汗が頬から顎へ 顎から膝へと流れてきます。能楽堂のように空調がされていても・・・ 当然、屋外などでは大変です。 こんな時でも装束や胴着は洗えません。舞台から下りてきたら装束や胴着は楽屋で鴨居や長押に吊り下げて陰干しにするしか・・・