12. 狂言の特殊な演出(2)

 

狂言師は1人6役

1役目は役者としての演じる仕事。
2役目は「音響担当屋」の仕事。狂言では通常 扉や戸は「音」も「所作」もなく開きます。しかし、蔵の戸等 開けることを強調しなければならない時 狂言では「ガラガラガラ」と口でセリフを言うようにして、所作とともに開きます。
3役目は「照明係」の仕事ですが「神鳴」という曲の中で雷が発生する際のピカーと光ってゴロゴロと音がし、そのあたりにドーンと落ちる様子を演じる役者は両手を大きく広げ「ピッカリ」「ピッカリ」と言い、おなかの太鼓を打つ格好をしながら「ガラリ」「ガラリ」と言い、続けて「ガラガラガラ」と言って舞台の中央にもんどりうって倒れます。このうちの「ピッカリ」「ピッカリ」が「照明係」の仕事ということです。
4役目は「透明人間」です。舞台で座っている姿が見えているのに姿が見えないという設定になっているポイントがあります。そのポイントにいる限りその役者は「透明人間」であります。
5役目は「觔斗雲」に乗った「孫悟空」のようなものです。舞台で「道行」という形で移動する役者は舞台を三角形に移動することにより、隣の家であったり遠く離れたところであったりします。また、先の「阿修羅像」の説明にもあるように、右から左を向くだけで役者のいる場所が変わっています。
最後の6役目は「MC担当」です。舞台に出てきてすぐにその役者が何者で、これから何をしようとしているのかを話します。これをよく聞いていてください。その狂言の「あらすじ」は御理解願えると思います。